離婚に伴う不動産売却では、「売却益が出るのか?」「名義は誰?」「住宅ローンは?」「財産分与は?」によって、発生する税金が大きく変わります。
場合によっては数十万〜数百万円の税金が発生することもあるため、売却前に正しく理解しておくことが重要です。
このページでは、離婚時の不動産売却で発生しやすい税金を「ケース別」にわかりやすく整理しました。
■ 離婚による不動産売却で発生する可能性がある税金一覧
- ① 譲渡所得税(売却益が出た場合)
- ② 住民税(売却益が出た場合)
- ③ 贈与税(名義変更・財産分与の方法によって発生)
- ④ 印紙税(売買契約書に貼付)
- ⑤ 登録免許税(名義変更など)
特に重要なのは①譲渡所得税と③贈与税です。
■ ケース①:売却益が出た場合 → 譲渡所得税が発生
不動産を売却し、「売った金額」>「買った金額+諸費用」となると譲渡所得が発生し、税金がかかります。
● 譲渡所得の計算式
譲渡所得 = 売却価格 -(購入費用+諸費用+売却費用)
譲渡所得がプラスになると、
- 所得税(15%)
- 住民税(5%)
- 復興特別所得税
が課税されます(所有期間5年以下の短期売却の場合、税率は約2倍)。
● ただし、離婚時も「3,000万円控除」が使える
マイホームの売却では、通常、3,000万円の特別控除が使えます。 離婚による売却でも、多くのケースでこの控除を適用できます。
ただし注意として、
- 売却前に別居していても利用可
- 夫側の単独名義でも利用可
- 妻へ財産分与後に妻名義で売っても利用可
という柔軟な運用が認められています。
■ ケース②:名義変更の方法によって「贈与税」が発生
離婚では、財産分与で不動産の名義を夫 → 妻、妻 → 夫に変更するケースがよくあります。
● 財産分与なら贈与税は発生しない
離婚に伴う財産分与は「贈与ではなく財産の清算」とみなされるため、基本的に贈与税は免除されます。
ただし、例外があります。
● 贈与税が発生するケース
- 婚姻期間が短すぎる(1〜2年程度) → 財産分与として認められない場合
- 価値の大きい不動産を一方に丸ごと渡す → 財産分与の範囲を超えると判定される
- 離婚と無関係な時期に名義だけ移す → 完全に贈与扱い
財産分与が「離婚に伴う財産の公平な分配の範囲内」と判断されることが重要です。
■ ケース③:オーバーローンで売却 → 税金はかからない
売却額 < ローン残債の状態(オーバーローン)で売却した場合、売却益は出ません。 そのため譲渡所得税は一切発生しません。
ただし、足りない部分を
- 現金で補填
- 新規ローンで借り換え
する必要があります。
■ ケース④:元配偶者に不動産を「格安で売る」 → 贈与税の可能性
離婚時に「市場相場3,000万円 → 元配偶者へ1,000万円で売却」のように、相場より極端に安い価格で売ると、 差額が贈与とみなされる可能性があります。
この場合、
- 差額に対して贈与税
が課税されることがあるため、 「財産分与として妥当な価格か?」を不動産会社に確認しておく必要があります。
■ ケース⑤:慰謝料として不動産を渡す → 贈与税の対象
不動産を「慰謝料」として相手に移転する場合、 多くのケースで贈与税の課税対象となります。
例:
- 暴力・不倫などが原因 → 妻へ家を渡す → 妥当な財産分与の範囲内なら非課税
- 理由が弱い・財産分与を超える → 贈与税の対象になる
慰謝料と財産分与の境界は専門家でも判断が難しい部分です。
■ ケース⑥:新居を購入する場合 → 住宅ローン控除が使えない可能性
離婚後に新居を購入する場合、直前に不動産を売却していると、住宅ローン控除が使えないケースがあります。
例えば、
- 離婚に伴い持ち家を売却 → 売却益が大きすぎると対象外
- 名義が複雑で「マイホームの定義」を満たさない
などが理由です。 「売却 → 購入」の流れは、税務的に慎重な判断が必要です。
■ 離婚時の不動産売却で税金を最小限にするポイント
- 相場価格で売る(安売りしすぎない)
- 贈与税が発生しないよう「財産分与」として処理する
- 事前に3,000万円控除の利用可否を確認する
- 売却前に名義とローンの整理を進める
- 税務署・税理士に相談してリスクを回避する
特に「名義変更」と「財産分与」の扱いを間違えると、 本来払う必要のない高額な贈与税が発生することもあるため要注意です。
■ まとめ|離婚時の不動産売却は税金の知識が必須
離婚に伴う不動産売却は、通常の売却よりも税務リスクが高い傾向があります。
- ✔ 売却益 → 譲渡所得税の可能性
- ✔ 名義変更 → 贈与税の可能性
- ✔ 格安売却 → 差額が贈与扱い
- ✔ オーバーローン → 税金はかからない
- ✔ 3,000万円控除で税額0円も可能
離婚時は精神的にも負担が大きい時期ですが、 売り方・名義の整理・税金の仕組みを理解しておくことで、不要な損失を避けることができます。
不動産会社と税の専門家の両方に相談しながら、
最も損のない売却方法を選ぶことをおすすめします。


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